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活動経緯

2009年9月26日 第7回勉強会
勝村久司・中医協委員を講師に診療報酬を考える


中医協委員 勝村久司さん

 第7回勉強会は9月26日(土)、東京・品川の全社連研修センターで開き、会員ら約50人が集まりました。今回は「患者の視点からの診療報酬改革」をテーマに、中央社会保険医療協議会(中医協)委員の勝村久司さん=写真=を講師にお招きし、中医協の舞台裏など興味深いお話を披露していただきました。

 中医協は2004年の歯科医師会汚職事件をきっかけに、診療報酬の決定過程に対する国民の不信感が強まり、診療報酬改定の「基本方針」は社会保障審議会医療保険部会・医療部会に決定権が移り、委員も公益委員を4人から6人に増やすなどの改革措置を講じて来ましたが、まだ患者側の意見が十分反映されているとは言えないことから、今回のテーマに選びました。(文責・本間俊典)

 講演の前段に、患者の声・協議会の伊藤雅治・副代表世話人が「診療報酬決定の仕組みについて」と題して、中医協の設置根拠、組織構成、課題などをポイント解説。「患者代表は(医療費の)支払い側の一員でよいか」「専門家の集まる中医協で意見を述べるには、患者代表委員のサポートシステムが必要ではないか」などの問題提起がありました。続いて、勝村さんが約1時間講演しましたが、要旨は以下の通りです。

 なお、第8回勉強会は11月21日(土)、新政権の医療政策担当者をお招きし、「患者の声と新政権の医療政策」について、じっくりお話を聞く予定です。また、勉強会の後で世話人、正会員、賛助会員の昼食交流会も予定していますので、奮ってご参加ください。

「中医協改革は道半ば」 患者の視点からの診療報酬改革
中医協委員、勝村久司氏

 中医協での議論の進め方は裁判に似ています。診療報酬をめぐって支払い側と医療側が向かい合って議論し、最終的には公益委員が裁定を下すという図式で、裁判における原告、被告、裁判官の関係のようなものに似ていると思います。

それも、議論の方向性などは厚生労働省の事前レクチャーがあり、そこからはずれることはまずありません。自由な発言のできる場とは言えず、やりとりもマスコミの政治部記者や業界紙の記者が注目するだけで、国民にとって開かれた議論の場とは言えない世界でした。
歯科医師会が発端となった汚職事件で中医協の改革が行われ、その一環で患者会活動をしていた私が05年から支払い側委員に加わったのですが、それから08年の診療報酬改定時までに、医療保険と介護保険の関係、混合診療と先進医療、ジェネリックや配合剤や新規適応薬剤などの薬の問題、外来管理加算の5分間ルールなどのトピックや課題をテーマに話し合われました。

 その中で、私は全国の患者が議論に参加できるために、レセプト並み明細書の無料発行、パブリックコメントと公聴会、審議内容の情報公開の徹底、議事録公開の迅速化、市民感覚の健全な価値観などを求めてきました。

 現在、問題になっている「医療崩壊」についても、一人医師による陣痛促進剤の被害、救急患者のたらい回し、医療事故隠しなどは、歴史を遡ると20〜30年以上前からあり、昔からの医療崩壊が今になって明るみに出ているだけなのです。また、そうした被害を繰り返さないためには、健全なチーム医療のための医療界内部の民主化、患者家族を含めた医療者間の情報共有といったことが必要であり、これらの問題も実は中医協の議論によって改善させていくことができる内容なのです。

 2010年改定では、1.レセプト並み明細書の完全無料発行(市民、患者、消費者の視点)、 2.ダイナミックな価値観の転換(チーム医療、集約化、機能分化、へき地医療)、3.産科医療の保険適用(実態把握、医療の質の標準化、助産師基準など)、4.議論の情報公開(中医協改革、業界への報道、国民への報道など)――などを目標にしたいと考えています。

多くの患者が中医協に対して声を上げ始め、これらの改善を重ねていくことにより、中医協は真に国民のための組織になると思います。