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活動経緯

2010年5月29日 第10回勉強会
「医療の未来について考える」
桐野高明氏を講師に迎え


国立国際医療センター総長 桐野高明氏

 第10回勉強会は5月29日(土)午後、全社連研修センターで開き、国立国際医療センター総長の桐野高明氏=写真=を講師にお招きしました。参加者は約40人(講演を聞いた感想の一部を掲載しました)。

 桐野氏は08年6月、日本学術会議医療のイノベーション検討委員会の委員長として、「信頼に支えられた医療の実現〜医療を崩壊させないために」(下記HP参照)を取りまとめ、政府に要望した経緯があります。

 この日の演題「医療の未来について考える」は当時の要望を踏まえて、日本の医療の問題点をわかりやすくお話ししていただきました。

 桐野氏は、日本の医療の実情について国際比較、治療成績、医療費など多方面の分析を紹介。そのうえで、1.医療財政は国の管理、医療提供は民間、2.国民皆保険、3.プライマリケア(外来)優位の資源配分、4.政府公定の診療報酬システム、5.「量とアクセス」に重点、といった日本の特徴を説明されました。

 医療崩壊を避けるには、国民(患者)、政府、医師にそれぞれの役割があり、国民は「医療を基本的な共通社会資本か、市場的に解決できるサービスか、の選択」、政府は「医療費増の必要性と財政負担」、医師は「信頼される専門医制度の整備」といった諸課題に取り組む必要性を強調されました。

【信頼に支えられた医療の実現】
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-y3.pdf

参加者の感想

・日本の医療の現状を主観的・客観的な視点から説明して頂き良かったと思います。また、今後の進むべき方向性が明らかであるのに、なぜ行政が動かないのか?提案のありました医療改革委員会などの存在は重要と思います(医薬産業関係者)。
・専門医制度(プライマリケア医を含む)をもっと早く確立して頂きたい。質の評価とチーム医療の円滑な活動のためにも。日本学術会議のレポートの広報と、同会議によるフォローアップをお願いします(患者支援者)。・とても分かりやすかったですが、難病の専門医というものの難しさを患者さんたちにどのように伝えていくのか、少し考えるところがありました(患者支援者)。
・医療者と利用者との協働と分業(分担)、何をするべき・考えるべきなのか、論点が明確になり、とても有意義なお話でした。医療に何故金がかかるのか?さらに金がかかる(医療費の拡大)の問題を正面からとらえて財源の確保を声を大にしてお話しされたことに敬意を表します(医薬産業関係者)。
・医療提供者の立場から、現状や今後についてお話しいただき大変参考になった。医療費削減政策の転換、専門医制度の問題など、日本の医療の発展のためには必要なことであると同時に、日本の医療の産業化、医薬品、医療機器産業の投資の場としての魅力の向上が必要なのではないかと思います(PR会社勤務)。

【お知らせ】

次回は9月4日、医療基本法についてシンポジウムを予定。詳細が決まり次第、HPなどでお知らせします。ご期待ください。

(文責・本間俊典)