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活動経緯

2011年6月18日 第14回勉強会
中医協委員に就任した花井十伍さん迎え

 第14回勉強会を6月18日、全社連研修センターで開きました。5月に中央社会保険医療協議会(中医協)委員に就任されたばかりの「NPOネットワーク医療と人権」理事、花井十伍さん(49)をお迎えし、「患者の視点に立った医療を考える〜中医協委員に就任して」と題してお話しいただきました。(文責・本間俊典)

 花井さんは前中医協委員の勝村久司さんの実質的な後任で、「患者代表」の委員として期待されており、この日も「勝村さんが広げた情報公開の道筋を後戻りさせないよう、がんばりたい」と抱負を述べました=写真中央。

 この日の参加者は20人ほどでしたが、花井さんの話はユーモアたっぷり。その後で交わした参加者とのやり取りは中身の濃いものが多く、終了後も花井さんを囲んで意見交換する参加者が目立ちました。花井さんの中医協委員としてのご活躍に大いに期待したいところです。 

花井さんの講演要旨

 私は血友病Aという遺伝性疾患で、子供のころから輸血、クリオ製剤、後に濃縮製剤を使ってきました。両親はこれらの製剤のシンポを見て、「これで助かるだろう」と思ったようです。当時は血液製剤に限らず、高度成長を背景にした医学やテクノロジーの進歩が著しく、科学技術を無条件に信頼する「科学進歩史観」の時代でした。

 1982年夏、米国で「エイズ」報道が始まり、同性愛者や麻薬常習者、血友病患者などに広がっているとされました。私が感染したのは80年代半ばで、87年に「エイズパニック」報道が盛んになり、私も不安になって92年に検査を受けたら陽性と診断されました。

 94年に大阪HIV訴訟の原告団に「巨悪」に立ち向かう気分で加入しました。96年に厚労相が謝罪し、今年、提訴から20年を経て和解が成立しましたが、その間に新薬が導入され、死者は大きく減少しました。

 訴訟や被害者運動の過程で、米国の医療体制にならい、国に専門医の育成、チーム医療の必要性を訴えましたが、これがうまくいかない。私たちの要求する医療体制が、そのまま医療全体の理想実現につながるはずだと思ってきましたが、現実の体制はそうではなかったのです。また、誰が善人で誰が悪人かという単純な考え方では、問題が解決しないこともわかりました。

 中医協では、患者のために本当にお金が使われているのかという基本的な観点はもちろんですが、医師たちの専門性をどう評価するかという問題があります。勝村さんの後任としてどこまでできるか荷は重いですが、それだけ身の引き締まる思いです。

 具体的には@診療報酬費の多くを占める薬剤費が、適切に支払われているかどうかA情報公開の一層の推進B医薬品を安全に使う体制整備――などに取り組みたいと考えています。

9月10日に総会と勉強会

 患者の声・協議会は9月10日、2011年度総会と勉強会を開く予定です。詳細は後ほどお知らせします。