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活動経緯

2011年12月4日 第16回勉強会「もっと知ろう中医協と診療報酬」
遠藤前中医協会長、関原氏、勝村氏を招いて活発討論

 第16回勉強会を4日、東京・全社連研修センターで開き、約50人の参加がありました。今回の講師は今年3月まで中央社会保険医療協議会(中医協)会長を務めた遠藤久夫・現社会保障審議会医療保険部会長(学習院大教授)。また、前中医協委員の勝村久司さん(医療情報の公開・開示を求める市民の会世話人)、現中医協委員の関原健夫さん(日本対がん協会常務理事)の2人もお招きして発言をいただきました=写真。
中医協に関する3氏の発言要旨は以下の通りです。

中医協の実態と感想

(遠藤氏)
・支払い側(1号)、診療側(2号)、公益側(3号)の厳密な3者構成による疑似市場。
・決定事項が原則実施される決定機関。
・審議内容がけたはずれに多い。
・専門的な内容が多く、素人には理解しにくい。
(関原氏)
・利害・得失にからむ決定機関であると同時に、医療行為に全般に及ぶ広範さなど、他の審議会などと決定的に異なる。
・事務局の厚労省からの根回しや「振り付け」などはなく、最初は議論を聞くだけで精いっぱいだった。
(勝村氏)
・「患者の視点」が重視され始めた時期だったため自由に発言でき、「不本意な医療をなくする」という患者代表の立場から、レセプト開示の実現にこぎつけた。
・保険者(支払い側)と医療提供者だけが意思決定に関与しており、保険者の中の被保険者(加入者)が蚊帳の外のかたちだ。

患者はどう関わるか

(遠藤氏)
個別疾患の代表としての存在は重要だが、政策全般に関わろうとすると長短がある。私自身、半分は「患者の視点」から考えていた。ただ、中医協も委員発言のほかに患者代表からのヒアリングなどはあってもいい。
(関原氏)
患者といえども、日本の政治経済とは無縁でない。患者は「安い価格で良質な医療」を望んでいるが、財政問題などマクロ的な背景を理解し、バランス感覚をもって発言するためには実力をつける必要がある。
(勝村氏)
患者側と医療側は対立するものではないが、保険者(支払い側)の意思決定に被保険者(加入者、医療消費者、患者)の意向をもっと反映させるため、一体になる必要がある。

参加者からの意見

・保険者と被保険者の距離は現実には非常に遠く、公益側はその距離を埋める役割があるのではないか。
・医療の地域偏在など皆保険制度下ではありえない事態が起こっており、患者代表としての「4号委員」を設けるべきだ。
・医療現場や患者に何の断りもなく、重要な医療政策が突然変更されることがある以上、患者の声を反映させる仕組みを構築する必要がある。