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活動経緯

2012年2月4日 第17回勉強会「日本の皆保険制度」
島崎教授が講演、先行きに“警告”

 第17回勉強会を2月4日、東京・全社連研修センターで開き、約60人の参加を得ました。この日は政策研究大学院の島崎賢治教授をお迎えし、「日本の皆保険制度〜過去・現在・未来」と題して講演いただきました=写真。

 島崎氏は、戦後日本の健康保険制度が少子高齢化に伴う人口構造の変化により、1.単一的な医療観・医療モデルでは対応不可、2.医療・介護の人材確保が困難に、3.老年従属人口指数(老年人口の生産年齢人口に対する比率)の急騰で、医療費をめぐる深刻な世代間対立を引き起こす懸念――の3点を指摘。

 それらの解決には、医療制度の歴史分析や海外との比較分析などを通じて、問題点を浮き彫りにし、「何を守り何を改め、その実現に最適な手段方法を見極めることが重要」と強調しました。

 医療政策の基本は医療の質、アクセス、コストの三つのバランスをいかにとるかにありますが、現在のように医療供給者、費用の支払い側、国民が三者三様の不平不満をぶつけあい、こう着状態に陥ったままだと「中身はスカスカの見かけだけの国民皆保険」になりかねないと警告。

 それらを踏まえ、島崎氏は1.国民皆保険は堅持すべし、2.国民皆保障の意味では税方式も可能だが、自助と共助の結合といった社会保険の特性は強調されるべし、3.医療保険制度の一元化・一本化の議論は賛成できない――などを提案しました。

「質の高い家庭医」の普及を

 この中で島崎氏は「医師と患者の関係」について触れ、「両者の現状認識には大きな食い違いがある」として、医療は医師と患者の協働行為であり、患者の自己決定権は重要だが、だからこそ医師の助力・支援が必要と強調。両者をつなぐ存在とし、「質の高い家庭医(総合医)」の普及がカギになると指摘しました。