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活動経緯

2013年5月25日 第21回勉強会
「医療計画」への住民・患者の参画は?
東京SP研究会の佐伯代表が報告

 第21回勉強会「『医療計画』に市民・患者の参画を」は5月25日、東京SP(模擬患者)研究会代表の佐伯晴子さんを講師に迎えました。佐伯さんらが昨年、全都道府県を対象に実施したアンケート調査「医療計画策定過程における住民・患者の参画」の結果を踏まえ、実情を報告していただきました=写真。

 医療計画は、がんなど5疾病、救急医療など5事業に在宅医療を加えた分野を中心に、都道府県ごとの実情に応じて病床数や医師の配置などの医療提供体制を決めるもので、5年ごとに見直されます。今回は、今年4月に計画がスタートしましたが、昨年行われたこの見直し作業の決定過程を取り上げました。

 見直しにあたり、審議する都道府県の医療審議会には医師、行政関係者のほか、住民・患者代表も加わることが決められており、医療政策の決定過程に患者・市民がどの程度かかわっているかを占うバロメーターになっています。

 しかし、アンケート調査の結果、住民・患者代表の委員を置かない県もあり、審議会の作業部会の議事録は多くが非公表。各県の医療計画に関する情報も、冊子とウェブサイトで提供しているだけの自治体が多く、住民参加や住民への情報提供や周知努力は十分とは言えない実態が明らかになりました。

 このため、佐伯さんらは国に対して、一般人を対象に「医療政策に参画するための講座」を作り、その修了生の中から住民委員を選ぶような後押しを要請。都道府県に対しては、複数の公募委員の参画や全議事録の公開などを提言し、医療計画の実効性を高めるよう要望しています。

 報告の後、佐伯さんは「医療を真に住民のためのものにする制度があるのに、現実には絵に描いた餅に等しい。住民の参画を強めることで医療の地域格差や民間医療機関の偏在などの諸問題も打開できるはずだ」と強調しました。

 ただ、医療計画そのものに対する国民の認識はまだ低いのが実情で、各地の医療に直接かかわりを持つ患者側が、もっと関心を高める必要があることも痛感させられました。