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活動経緯

2013年7月20日第22回勉強会「HTAを学ぶ」
講師に池田教授、概念や先進事例を紹介

 患者の声協議会は7月20日、東京・全社連研修センターで第6回(2013年度)総会と第22回勉強会を開きました。勉強会では「HTA(医療技術評価)を学ぶ」と題して国際医療福祉大学の池田俊也・薬学部教授を講師にお迎えし、バイエル薬品執行役員のブルーノ・ロッシ―氏が指定発言しました=写真。

 池田氏によると、HTA(Health Technology Assessment)は医療技術を適用した場合の短期的、長期的帰結を評価する政策研究のことで、評価には安全性、効能、実際の診療面での効果、患者報告、費用対効果、社会的・倫理的影響などが含まれ、医薬品や医療機器などが実際に患者の役に立っているかどうかを評価する手法です。欧米ではすでに一部の国で実施されていますが、日本ではようやく検討が始まった段階です。

  とりわけ、評価にあたっては有効性、経済性、社会性の三つの視点が重要になります。有効性は、治験で得られた短期評価だけでなく、薬の飲み忘れや合併症患者なども含め、実際の診療現場で使った場合の長期的評価を重視します。経済性は、薬の価格が高いか安いかだけでなく、他の薬と比べて症状がどの程度改善しているかといった費用対効果を検証するもので、医療費の膨張が問題になっている日本ではコスト削減の有力手法になり得るとして、注目されています。社会性は、社会的な問題や倫理的な問題への影響にどう配慮するか、という視点です。

 池田氏は、こうしたHTAの基本概念を解説したうえで、欧米各国での先進事例を紹介し、実際にどのように評価が行われているのかを説明しました。日本では中央社会保険医療協議会(中医協)の費用対効果評価専門部会で昨年5月から分析手法などが議論されていますが、池田氏は「こうした手法が日本になじむかどうか。一般国民・患者にどんなメリットがあるのか、明確にする必要がある」と述べ、課題を指摘しました。

  ロッシ―氏は製薬企業の立場から、HTAについて解説。日本での議論がもっぱら財政面への影響という視点に偏りがちな点を指摘し、「患者の視点からの評価・定量化が必要ではないか」と強調しました。

 なお、勉強会に先立ち開かれた第6回総会では、事務局から12年度活動報告と決算報告、13年度の事業計画案と予算案が提示され、役員の再任も含めて原案通り承認しました。

2012年度活動報告(PDFファイル)
2013年度事業計画(PDFファイル)