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活動経緯

2013年10月19日 第23回勉強会
医療・介護連携の必要性・PARTT
はばたき福祉事業団の柿沼氏が講演

 第23回勉強会「病気を抱えて生き、老いることの意味」は19日、社会福祉法人「はばたき福祉事業団」の柿沼章子事務局長を講師にお招きし、薬害HIV被害者の長期療養の事例を通じて、慢性疾患に共通の課題を学びました。

  はばたき福祉事業団は、薬害エイズ事件の被害者救済のため1997年に設立、2006年に社会福祉法人になりました。当初は新たな治療薬の導入や医療の充実など、医療政策に関わる活動が主でしたが、近年は合併症や就労などの長期課題が増え、患者・家族の高齢化も加わって、慢性疾患を抱えながら日常生活を送る困難への対応に軸足が移っています。生存者は現在、全国に約760人と推定されています。

  柿沼氏はこうした流れを説明し、厚生労働省の研究班が最近実施した患者約100人からの聞き取り調査の中から、同事業団が深く関わった3人の事例を紹介しました。

 そこから浮かび上がってきた問題として、医療機関と地域福祉の連携不足、医療と社会福祉をコーディネートできる人材の必要性、HIVに対する社会の偏見と就労問題の解決などでした。柿沼氏は「どのような支援が必要か、HIV患者・家族だけの問題ではなく、慢性疾患に共通する課題が多いというのが実感。共通課題を社会全体で考え、対策を実施していくことが重要」と強調しました。

 この後、埴岡健一・当協議会世話人をコーディネーターに、柿沼氏、大平勝美・同事業団理事長、伊藤雅治・当協議会副代表世話人の3人によるパネルディスカッション。行政、医療関係者、ジャーナリストとの質疑応答を行いました=写真

 パネラーや参加者からは「医療と福祉の縦割り体制で、せっかくの施策が有効活用できない」「病院と地域をつなぐコーディネーターは何人かいて連携できるようにはなっているが、地方ではまだ十分でないところもある」「地域の拠点病院の機能を充実させてほしい」「行政内部もまとまりがなく、現場の声が必ずしも十分浸透していない」などの指摘が相次ぎました。