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活動経緯

2015年8月1日 第31回勉強会「『医療の質』どう評価する?」
梅田氏は国立病院、東氏はがん治療における取り組みを解説

 第31回勉強会「『医療の質』どう評価する?」を8月1日、東京・中野サンプラザで開きました。今回は国立病院機構理事(医務担当)の梅田珠実さんに「国立病院機構における医療の質の評価と改善の取り組み」、国立がん研究センターがん政策科学研究部長の東尚弘さんに「臨床指標の読み解き方と“育て方”〜がんの標準診療実施率調査から」と題して講演いただきました。

 梅田さんは、同機構傘下の143病院で医療の質の評価のために使用している「臨床評価指標」について説明。2006年度に26項目の測定を開始、10年度から診療情報データを活用した70項目の指標を開発し、専門家らによる委員会での見直しを経て、15年度からは115項目に拡大した指標を、各病院のカンファレンスなどで活用し、PDCAサイクルに基づいて診療内容の改善を図っている活動を報告しました。

 東さんは、満足度については、全国の病院で入院・外来患者を対象に、政府の「受療行動調査」が行われていることを紹介。また医療技術的な質評価の視点として、患者側の注目度の高い生存率、合併症発症率、再入院率、入院日数などの「結果」を集計した場合、対象患者の違いによって例えば生存率に差の出ること、きちんと追跡データを取らない方が生存率が高く見える場合があることなどを強調しました。また、「過程」の評価基準となる「標準診療実施率」についても、すべて改善をもたらすと証明できるとは限らないことを指摘しました。

 お二人に共通したのは、臨床指標の評価は病院のランク付けをするのが目的ではなく、医療の質の均てん化を図るのが目的であり、公表された数字だけでなく、その背景にも注意を払わなければならないと強調した点でした。

 しかし、参加者との質疑応答では「ぼう大なデータをそのまま公表しても、一般国民にはわかりにくい。具体的な事例を挙げるなどして、やかりやすくする必要がある」「病院全体でなく、治療にあたった医師ごとの指標は公表しないのか」「数字が悪い場合は改善に向けてどう対処するのか」などの意見や疑問が相次ぎ、質の評価をめぐって医療側と患者側の認識の違いがかなりあることをうかがわせる場面もみられました。

 当協議会はこの日、勉強会に先立って2014年度決算・活動報告と15年度予算・事業計画案に関して総会を開き、原案通りに承認されました。→事業計画はこちら