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活動経緯

2015年11月3日 第33回勉強会
地域医療審・がん対策協の患者代表にアンケート
宮崎、滋賀、大阪の委員から体験談聞く

 患者の声協議会(長谷川三枝子代表世話人)はこのほど、47都道府県の地域医療審議会やがん対策推進協議会などに参画している患者・住民代表の委員・元委員にアンケート調査を実施し、3日に開いた第33回勉強会で結果を公表しました。地域の患者・住民代表委員に対する調査としては例のない独自の試みです。

 地域医療・がん医療の均てん化のためには医療関係者だけでなく、患者・住民代表の意見も反映させる必要がありますが、実際に委員の方々がどのような環境の中で、どんな活動をしているかを知るために実施した調査です。240人を対象にメールなどを送付、27府県の38人から回答をいただきました。

 委員として心掛けていることは「毎回の出席」が37人で最も多く、「会議資料の事前理解」「毎回の発言」などが続きましたが、「意見書の提出」「座長とのコミュニケーション」といった積極的な取り組みは少数でした。

 審議会や協議会の運営では、「座長の運営力」「審議に必要なデータ」「事務局の運営力」などに満足度が高い半面、「患者・住民からの意見聴取」「審議回数・時間」「事前説明」などには不満が目立つ結果となりました。

 調査結果の詳細については、以下のまとめをご覧ください。

患者・住民参画アンケート結果

 3日の勉強会ではアンケート結果を基に、谷口由美繪さん(宮崎県医療審議会委員、県地域婦人連絡協議会会長)▽菊井津多子さん(滋賀県医療審議会委員、県がん患者団体連絡協議会会長)▽濱本満紀さん(前厚労省がん対策推進協議会委員、がんと共に生きる会副理事長)の3人をお迎えして、「私の委員体験から」と題して地方審議会の現状や課題について報告していただきました。

 谷口さんは「審議会の座長が変わると、審議会の議論の内容も変わってしまうのが現実。それではいけない。患者・住民としての声を上げる時期に来ているが、あまり強く主張すると行政が引いてしまうので、その辺がむずかしく、審議会は過渡期にある」と話しました。

 菊井さんは「がん対策について患者の意見は当初、まったく聞いてもらえなかったが、粘り強く行政などに『言葉』で伝えるようにしたら、徐々に動いてくれるようになった。その点、がん対策に比べると医療審議会は疾病横断的な課題が多くてむずかしい」と述べ、濱本さんも「医療計画に患者・住民がアクセスするには、疾病を超えて考え、連携する必要がある」と指摘しました。

 これを受けて、勝村久司・元中医協委員が「審議会や協議会の患者代表委員が知っておきたい傾向と対策」、大熊由紀子・国際医療福祉大大学院教授が「各種審議会委員の経験から」と題して講演し、豊富な体験談を交えて患者・住民の参画のコツをわかりやすく解説しました。

 後半は埴岡健一・当協議会世話人の司会でパネルディスカッションに移り、「患者・住民にとって何が利益になるのか、を考えながら意見を言うのは結構むずかしい」「議事録などの情報公開を進め、審議会がどんな状態なのか住民に知ってもらうことが重要」など、多彩な意見が出て会場を盛り上げました=写真。

 アンケート結果や谷口さんら3人のお話を総合すると、地方の審議会・協議会はもっぱら医療提供者と行政関係者の主導で運営されており、患者・住民の代表委員は“孤軍奮闘”している印象を強く受けました。患者・住民代表らの意見を反映させるには、委員同士の横の連携や共に学べる場の設定などがカギになりそうです。