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活動経緯

2016年3月6日 第34回勉強会
「医療基本法」に関するおさらい勉強会
鈴木弁護士交えて活発議論

 3月6日、日本リウマチ友の会(東京・神田)の事務局をお借りして第34回勉強会を開きました。テーマは「医療基本法」について。当協議会は2008年の発足以来、「医療基本法」の制定に向けて勉強会、他団体との連携、政党への要請などの活動を展開してきましたが、制定に向けた機運が盛り上がっているとは言えず、患者団体の間でも認識に濃淡があることから、今回は、当協議会加盟の患者会の皆さんと医療基本法の必要性について改めて勉強し直し、認識を共有しようと企画しました=写真。

 この日は、連携団体の一つである「患者の権利法をつくる会」から鈴木利廣弁護士(明治大学法科大学院教授)をお招きして、医療基本法の内容、制定を巡るこれまでの流れ、今後の課題などについて、詳しくお話ししていただきました。また、当協議会の長谷川三枝子代表世話人と伊藤雅治副代表世話人から、「国民参加の政策決定」について、どんな現状になっているか解説があり、自由討議に。

 討論では、「患者の権利法がない先進国は日本ぐらいのもの。患者の権利が保障されていないことで、さまざまな医療問題が発生しており、医療の骨組みを変えなければ、より良い医療の実現はむずかしい」(鈴木氏)という点では参加者の認識は共通しています。

 しかし、医療政策に国民の声を反映させる包括的な制度はできておらず、政府レベルではがん対策基本法や肝炎対策基本法など、一部の法律で患者参画が規定されているに過ぎないこと。さらに、都道府県レベルになると、地域医療を決定する重要な場であるはずの医療審議会などでも、住民参加には大きなバラつきのあることが指摘されました。

 また、法制定には日本医師会など医療提供側の協調が必要ですが、これについても地方レベルでは「患者の権利」に対する医師側のアレルギー反応がまだ残っており、意識改革の困難さが浮き彫りになりました。このため、「患者の権利よりも、病者の権利と言い換える方がより正確ではないか」といった意見も出ました。

 その一方で、日本医師会が医療基本法の必要性を認識して「提案」を作成したこと、厚生労働省などの行政も「制定に向けてやれることがあればやる」との意識が強まっているなど、制定に向けた機運が関係者の間で徐々に高まっている事実もあり、「これまで開いてきたシンポジウムなどを継続して開き、国会議員や日医などとも連携して呼び掛けを強めることが重要」(伊藤氏)との点で参加者の意見が一致しました。

 当協議会、つくる会、医療政策実践コミュニティー(HSP)・医療基本法チームの3団体は12年4月、医療基本法制定に向けた6項目の共同骨子を発表。今年2月には、全国ハンセン病違憲国賠全国原告団協議会と連携して、「病気または障がいによる差別禁止」を加えた7項目の共同骨子に改訂しています=別添