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活動経緯

2016年年10月2日 第37回勉強会
「続・地域包括ケアにおける住民の役割」
自治体、在宅医師、在宅看護師、住民サポーターによる現場報告

 第37回勉強会「続・地域包括ケアにおける住民の役割」を10月2日、東京・中野サンプラザで開きました。8月27日に開いた第36回勉強会の「概論編」に次ぐ第2弾で、今回は地域包括ケアの現場で実際に活動している各分野の代表者をお招きしました=写真。

 今回の講師と講演テーマは、久保田健太郎・千葉市保健福祉局地域包括ケア推進課主査「住民視点の地域包括ケアシステム」▽井上智貴・群馬大学医学付属病院リハビリテーション科助教、在宅総合ケアセンター成城成城リハケア病院勤務「在宅医療の現場から」▽服部絵美・白十字訪問看護ステーション所長「地域包括ケア実現に向けて」▽中澤まゆみ・ケアコミュニティ「せたカフェ」共同世話人、ノンフィクションライター「『点』から始まるまちづくり」。

 久保田氏は、同市中央区東千葉地区で実践している「地域の和・輪・環の会」を紹介。同地区住民、千葉大学、市が連携して、仲間づくりや助け合い、近隣医療機関との連携など、八つのプロジェクトを実践して「地域共生社会」を構築しつつあることを報告しました。

 井上氏は、在宅医療や医療・介護の連携など、地域包括ケアの要となる活動を実例報告。医師の場合は診療やリハビリが中心となるものの、「かかりつけ医」になると患者家族の生活支援など、医療以外の対応も必要になることから、医学教育にそれらを盛り込む必要性を強調しました。

 服部氏は、高齢化の著しい新宿区・戸山ハイツの事例などを挙げ、訪問看護ステーションを通じた訪問看護の実態を紹介。同時に、高齢者たちがもっと気軽に相談できる場として「暮らしの保健室」を開設し、大きな効果を上げていることを報告しました。

 中澤氏は、全国の「住民参加」のパターンと、世田谷区内に住民主導で立ち上げた「ケアコミュニティ・せたカフェ」の実態を報告し、認知症カフェでスタートした「点」が、住民参加によって介護講座や勉強会などの「ネットワーク」に拡大し、現在は他の自治体にも“増殖”している実状を、多数の写真を使ってわかりやすく解説しました。

 この日の講師4人は、地域包括ケア制度を担う各分野の第一人者ですが、後半のパネルディスカッションでは、すべての分野に“横ぐし”を入れて有機的なネットワークを構築することが重要、という点で意見が一致しました。

 参加者からは「医療・介護の地域格差が存在する中で、なにをもって制度運用が進んでいる、遅れていると言えるのか」「(住民らには)誰かが助けてくれる、という根強い意識がありはしないか」「意識の高い住民以外に、制度を知らない人や興味のない人には、どう浸透を図ればいいのか」などの質問、意見が相次ぎ、講師らと活発なやり取りが交わされました。