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活動経緯

2017年4月16日 第40回勉強会
「地域医療計画」と「地域包括ケア」をつなぐ
かかりつけ医の役割、多様なケアマネ業務を学ぶ

 第40回勉強会「地域医療計画と地域包括ケアをつなぐ」を4月16日、東京・中野サンプラザで開きました。今回も30人を超える参加者にお集まりいただきましたが、開始時刻を巡って事務局のミスがあり、ご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。
   今回は日本医師会から鈴木邦彦・常任理事、日本介護支援専門員協会から鷲見(すみ)よしみ会長のお二人を講師にお招きし、鈴木氏は「地域包括ケアにおけ る医師会とかかりつけ医の役割」、鷲見氏は「地域包括ケアにおける医療と介護の連携」というテーマでお話をいただきました=写真上。

 鈴木氏は、日本の皆保険制度のメリットを強調し、医療の拡充が国民の健康水準を向上させ、引いては経済成長と社会の安 定に寄与するとの認識を示しました。そのうえで、少子化の進展と労働力人口の減少で、社会保障を支える若年世代の負担は増える一方であり、公的財政の余裕 もないことから、「高齢者の健康寿命を延ばすことが現代の課題となっている」と解説しました。
 そのうえで、主に高齢者を対象にした医療は「病院 医療」から「地域医療」に移り、全国の「かかりつけ医」が大きな役割を果たすようになったため、日本医師会が実施している「かかりつけ医機能研修制度」な どを解説。地域包括ケア制度でも、地域包括支援センターを主導する行政と、在宅医療の連携拠点となるかかりつけ医が「車の両輪」であることを強調しまし た。
 鷲見氏は、地域包括ケア制度のキーパーソンであるケアマネジャーの業務実態と課題について、豊富な実例を交えて説明。介護保険制度では要介 護度が重要な指標になりますが、介護を受ける人の意識や家族との関係をはじめとする様々なケースがあり、「指標には反映されない現実が実に多い」と強調し ました。
 また、医師と患者(被介護者)の考えのズレやコミュニケーション不足を、ケアマネが埋めるむずかしさも現場の課題となっており、「医療 と介護の連携とは言うが、実は見えるようで見えない部分も多い」と述べました。しかし、地域包括ケア制度の浸透とともに、地域ケア会議などにおける医師や 行政との情報共有の場も増えており、相互連携に必要な「価値の認め合い」という段階に来ていると述べました。
 この後、参加者との質疑応答、意見交換=写真下=では、参加者から「地域医療計画は都道府県、地域包括ケアは市町村といった具合に実施主体が違っており、どこが運営全体に責任を持っているのか」という、制度にとって重要な問題提起がありました。
  これについては「私たちは個別ケースの自立支援はできるが、それ以上はネットワークづくりになる。結局は、地域住民が自分のこととして考えることが重要で はないだろうか。いくら制度ができても、人と人の信頼関係がなければ動かない」(鷲見氏)、「医療界も人手不足で大変だが、2025年問題に向けて体制整 備を急いでいる。しかし、住民の声は“低負担・高サービス”を求めがちで、もう少し財源問題やコスト意識に注意を払っていただきたい」(鈴木氏)など、お 二人それぞれの立場から「市民の意識改革」の必要を訴える意見が出ました。(文責・本間)