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活動経緯

2017年8月26日 第42回勉強会
新公表「NDB-SCR」データって何だ?
自分の街の医療が丸見えに

  第42回勉強会「自分の街の医療が丸見えに〜地域別・診療行為別・頻度別データに触る」を8月26日、東京・中野サンプラザで開き、約40人の参加をいた だきました。厚生労働省は昨年秋にNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)を初めて公表しました。今年4月には内閣府の委員会の資料として NDBデータを加工し、地域間比較を容易にした「NDB-SCR(標準化レセプト出現比)」が公表されたため、その紹介と活用を試みました。
 この日は、当協議会世話人の埴岡健一(国際医療福祉大学大学院教授)と医療情報に精通されている松木大作氏(大阪府済生会吹田病院事務次長、診療情報管理士)の2人がNDB-SCRのデータの概要、見方、分析方法などを解説しました=写真。
 今回公表されたNDB-SCRは2017年5月から18年5月に、医療機関が保険請求のために発行したレセプト約10億件を性別、年齢階層別、地域別に 処理したビッグデータで、数値が100より上か下かによって、地域別(県、医療圏、市区町村)の診療状況が「見える化」されたものです。これにより、グラ フ化や地図上での表示も簡便になりました。
 埴岡、松木両氏は、NDB-SCRから千葉県のがん診療の状況、神奈川県の脳卒中診療の状況を抽出し、地域別“格差”の一端を紹介しながら、患者・住民 としては(1)適切な治療・医療は普及しているか、不適切な医療が横行していないか(2)適切な治療・医療行為が均てん化されているか(3)各疾患に関し て、標準的な治療が普及しているか――などといった視点でデータ分析に臨めば有効活用できることを強調。一方で、データ全体の“読解力”を高める努力を続 けることの重要性にも言及しました。
 質疑応答では、参加者から「NDBデータは更新されるのか」「介護レセプトとの統合はあるか」「NDB-SCRは今後、精度が高まるのか」などの質問が 相次ぎ、埴岡、松木両氏は「NDBデータ自体は定期的に公表されるはず。NDB-SCRとしての公表が定期的にされるか不明だが期待される」「日本全体で 健康データ、医療レセプトデータ、介護レセプトデータ全体を統合する方向で動きはじめているようだ」「地域の異なる立場の人が集まってNDB-SCRを 使って議論する力を高めることが重要」などと答えました。→当日講演の資料はこちら

 なお、当協議会は同日、勉強会に先立って2016年度決算・活動報告と17年度予算・事業計画案に関して総会を開き、原案通りに承認されました。→事業計画はこちら