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活動経緯

2017年11月12日
「医療基本法」制定へ3回目シンポ
国会議員6人が参加、温度差も

  医療基本法シンポジウム「みんなで動こう〜パートV」が12日、東京・明治大学駿河台キャンパスで開かれ、約80人が参加しました。患者の声協議会、患者 の権利法をつくる会、医療政策実践コミュニティー(H‐PAC)・医療基本法制定チームの3団体による共催で、今回は立法活動を担う国会議員6人に参加し ていただきました。同協議会は、このシンポジウムをもって第43回勉強会としました。

 冒頭、主催者を代表して埴岡健一・同協議会副代表世話人が、「さまざまな立場の違いを乗り越え、基本法における価値観の共有など、立法に向けた障害物はほぼなくなった。今後は、超党派議員による早期立法をぜひお願いしたい」とあいさつしました。

 同チームの前田哲兵氏(弁護士)が基本法に関わる論点整理の形で基調報告。基本法の性格、日 本医師会が作成した提言、同協議会など5団体が発表した共同骨子、患者の権利の位置づけなどを再確認すると同時に、「負担と給付」の財政問題なども絡め て、基本法制定にあたっての課題などを整理、解説しました。

 この日の参加議員は川田龍平(民進、参議院)▽田村智子(共産、参議院)▽桝屋敬悟(公明、衆議院)▽小西洋之(民進、参議院)▽古川俊治(自民、参議院)▽阿部知子(立憲民主、衆議院)。

 川田氏は「現在の政党に任せると医師主導になりがちで、患者の立場として立法は必要」としな がらも、「法制定には“機運”が必要であり、関係者から繰り返し提案してほしい」。田村氏は「患者の権利を基本に据えるべきであり、国会の議論の俎上に上 るよう努めたい」。桝屋氏は「基本法にどこまで“力”があるかわからず、提案を収れんさせるのはかなり困難だが、やらねばならない」などと発言。小西氏は 「医療法でコト足りるという考えは誤りであり、基本法の制定は最大の国民的課題」。阿部氏は「基本法制定の必要はある。医療の視点からも国民の自由権、社 会権を奪ってはならない」と述べました。

 これに対して、古川氏は「現在の医療法が基本法の性格を十分持っており、さらに基本法を上乗 せする意味があるかどうか疑問。財源論などを抜きにした基本法は無意味であり、やるなら各種提案と医療法の改正も含めた体系的なものでなければならない」 と慎重な考えを述べました。

 指定発言として日本医師会の今村定臣常任理事は、「医療法の規定は医療界に混乱をもたらし、 基本法の性格を満たしていない。医師会の中でも医療基本法について“訴訟を誘発しないか”“医療の不確実性を盛り込むべきだ”といった懸念や要望があった が、議論の末に公式案としてまとめた。基本法が必要という認識は変わらない」と述べました。この後、参加者との活発な質疑応答が展開されました。
 最後に、権利法をつくる会の鈴木利廣氏(弁護士)が「医療制度の目的と理念を明確にすれば、方策の違いは乗り越えられる。もうその時期に来ているのではないか。法制化に向けた動きを加速させましょう」と締めくくりました。

 医療基本法については、権利法をつくる会が11年に「医療基本法要綱案」を発表。12年には 患者の声協議会など3団体による6項目の共同骨子を発表。その後、これを発展させた5団体による7項目に修正しました。一方、日本医師会も12年に「“医 療基本法”の制定に向けた具体的提言」を発表するなど、関係団体による制定の機運は高まっています。しかし、立法当事者である国会自身や政党間で議論を深 めるといった動きは鈍く、今後、院内集会や議員への説明を活発にして議論を盛り上げる必要がありそうです。