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活動経緯

2018年3月24日 第44回勉強会
「診療・介護報酬ダブル改定は、こうなった」
佐藤、庄子両氏から改定の舞台裏を聞く

 第44回勉強会「診療・介護報酬ダブル改定は、こうなった〜大改革のツボを、患者・住民のために徹底解説」を3月24日、東京・中野サンプラザで開きました。6年ぶりの大改定だったこともあって社会的な関心は高く、予定していた50席は満杯となりました。
 今回は、講師に佐藤敏信氏(久留米大学教授、元厚生労働省健康局長)と庄子育子氏(元日経ビジネス編集委員/日経BP社医療局編集委員)のお2人をお迎 えし、佐藤氏には「(2010年度担当者が語る)診療報酬改定の舞台裏」、庄子氏には「(診療報酬20年ウォッチャーから見た)ダブル改定の意義」と題し てお話いただきました。
 佐藤氏は、診療報酬の基本的な内容を解説したうえで、今回の改定の中で調剤報酬と薬価がマイナスになった理由を説明。昨年の総選挙で消費増税分の使い道 を一部変更して、教育や子育て支援により手厚く回すことになったことから、減らされた財源を穴埋めするため、財務省主導でマイナス改定に至った経緯を、審 議機関の中医協などの舞台裏を交えて解説しました。
また、病院については、厚労省も中医協で「7対1」(入院患者7人に対して看護師1人を配置する体制)の急性期病床数の削減をスピーディーかつ大胆に打ち 出し、報酬の高い「7対1」の算定から「10対1」以下の算定への移行を促すきめ細やかな仕掛けを盛り込んだ点などを評価しました。
 庄子氏は、今回の改定が500項目近い膨大な量にのぼり、団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年問題への対応に向けて、「厚労省の本気度が伝 わってきた」と指摘。中でも、中心的な柱となる入院基本料や初診料などの基本診療料に切り込み、「病院」から「在宅」へと移行させる動きを加速させ、「か かりつけ医」加算をかなり手厚くした点などから、「今後、患者は医療機関の選び方が一層重要になる」と強調しました。
 参加者との質疑応答=写真=では、従来の介護療養型医療施設に代わる「介護医療院」の創設の是非、医療と介護の保険統合、在宅医療の限界、薬価にHTA (医療技術評価)をどこまで反映させられるか、地域医療構想の実効性など、関連質問が次々と寄せられ、予定の1時間余があっという間に過ぎました。今回の 改定によってもなお、医療・介護をめぐる諸問題が多岐に渡って存在していることを強くうかがわせました。