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活動経緯

2018年5月26日 第45回勉強会
「医療計画を住民目線でチェック」
松本、野村両氏から関心を持つ重要性を教わる

 第45回勉強会「医療計画を住民目線でチェック」を、5月26日に開催いたしました。
 まず、当会世話人の埴岡が「問題提起:医療計画とは何か。なぜ、患者・住民が読むべきなのか」として、医療計画の位置づけを確認いたしました(スライドはこちら)。 続いて、当会世話人の武川篤之(アレルギー患者の声を届ける会)が、44都道府県の医療計画における「アレルギー疾患対策」部分を11項目で評価した結果 を発表しました。採点結果は4.5点から0点まで大きな差が見られるなど、計画の内容が2極化しており、対策の現状を可視化し、住民・患者がしっかりと チェックしていくことの重要性を指摘しました(スライドはこちら)。

  東京大学高齢社会総合研究機構の松本佳子さんからは、医療計画の「在宅医療分野」を20県余り読み比べた結果が示されました。アウトカム(住民・患者に とってどのような状態になっているか)に関する目標設定などについて、県の間に差が見られました。同時に、住民視点での計画策定に取り組む前向きな地域も 生まれつつあることが紹介されました(スライドはこちら)。

 地域医療を育てる会の野村和之さんの発表のテーマは「患者・住民参加」。市民と医療者が共に地域の医療を創造していくスタンスの重要性を強調しました。 また、地域医療構想(医療計画の一部で、地域の将来の医療需要に合わせた提供体制への転換を考える部分)を検討する会議が各地で開催されているものの、そ の情報公表に関して大きな地域差があることが示されました(スライドはこちら)。

 総合ディスカッションにおいては、まずご来場のみなさまに、どのような関心事や懸念があるかを尋ねました。「自分の住んでいる地域のがん対策の低調さ」 「地域医療でどのような進展があるのか」「住民参画と住民が情報を活用して提言していくこと」「自分たちの疾病固有のこともさることながら、医療制度や地 域の医療全体を理解していくこと」「地域連携制度が分かりにくく、どのように患者や住民に情報提供をしていくか」「介護保険料の地域差」などの意見があり ました。いずれも医療計画に深く関連することであり、実際の医療計画においてどのように問題意識や対策が記載されているかを確認したいところです。

 今後、みんなでさらに医療計画の読み比べを進めていくためのコツに関して、武川は「狙いは各地を良くしていくことなので、問題点がわかるように視点や尺 度を決めて、人に伝えることができるようにすること」を挙げました。松本さんは、「良い計画はテーマごとに目指すところを明確に書いてある。だらだら書い てあるところは良い計画の可能性が低い。数値目標の指標に患者・住民の状態に関するものを選ばずに、活動回数といった形式的な項目ばかりになっているとこ ろは、要注意」とポイントを指摘。野村さんは、「お客さま意識ではなく、当事者意識をもって読んでいくことが一番大切です」と強調しました。来場者一同、 「自分ごと」として地域の医療計画を読んでいくことの重要性を再確認し、閉会いたしました。