第46回勉強会「患者の声を行政に反映するには」を12月9日、東京・中野サンプラザで開き
ました。患者の考えや要望などをどこに伝えれば実現するの
か。立法府や行政機関、病院、学会など、さまざまなステークホルダーの存在が医療の大きな特徴です。そこで、この日は「“反映する”シリーズ第1弾」とし
て行政について考えました=写真。
講師に聖路加国際大学大学院の中山和弘教授と岐阜県難病団体連絡協議会の増田光子さんを講師
に迎え、中山教授には「患者中心の意思決定に必要な情報と
は」、増田さんには「岐阜県福祉のまちづくり」と題して講演していただきました。
講演に先立ち、当協議会の埴岡健一副代表世話人が、なぜ患者の声を各ステークホルダーに訴え
て反映させる必要があるのか、「医療基本法」の制定活動など
を例に挙げて解説しました。
中山教授は、患者自身が医療について意思決定するには「ヘルスリテラシー」(情報に基づいた
意思決定により、自分の健康を決める力)が必要だが、これを
向上させるには「知識の開発」「意識向上と能力形成」「インフラとパートナーシップの形成」が基本的な3要素となる。
欧米では患者参加などを通じて、だれにもわかりやすい情報提供の機会を設けているが、日本で
はそうした研究や人材教育が行われていないため、患者が自ら
意思決定できる環境にない、と述べました(講演資料)。
増田さんは、岐阜県が検討しているパーキングパーミット制度(いわゆる「車いすマーク駐車
場」)の導入について、岐阜県福祉のまちづくり推進会議の委員
と
して審議に参画していますが、資料が膨大な割に審議時間が短く、利用者の範囲などについて患者側の発言機会が実質的に制限されていることなどを報告。行政
側のペースで審議が進みがちな実態を説明しました(講
演資料)。
後半の自由討議では、中山教授が「行政の会議などでは“誰が決めるのか”という意思決定につ
いて、明確になっていない。リテラシーが大事だというのは、
情
報を入手して、それを評価して、意思決定するというのが一連のプロセス。理解の段階で止まるということは、患者自身では決められないことになるが、最近、
SDM(sheard disision making)という、患者と医療者と共同して治療法を選択する機運が出てきている」と述べました。
参加者からは「行政が実現したいようなテーマの会議などでは、それに反論すると抵抗勢力みた
いな立場になりがち。そうした場合、行政出身者などの仲介役
がいて、行政の本音を“通訳“してくれる存在があれば、スムーズに進む」といった意見が出ました。
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