「医療過誤原告の会」宮脇氏、医療基本法フォーラム

 当協議会が参画している医療基本法フォーラムは6日、医療過誤原告の会」の宮脇正和会長を講師に、学習会「医療事故調査制度と医療基本法」をオンラインで開きました。

宮脇氏は30年に及ぶ被害者らの相談を通じて、「誰でも医療事故の当事者になり得ると同時に、被害者と医療者の双方に大きな傷を残す」と課題提起しました。

 しかし、被害者・遺族側が医療側に納得できる説明、関係資料の提出、故意・隠ぺいのないことなどを求めるのに対して、医療側は訴訟を起こされる不安などにより、事故に正直に向き合えないというミスマッチが存在していることを指摘。

 そのため、2015年10月に運用開始された医療事故調査制度も、当初予想の年間1300~2000件を大きく下回る300件台で推移しており、「このままではせっかくの制度の衰退につながる」と警告しました。

 また、医療過誤訴訟では被害者・遺族側に「医療側の過失立証責任」という厳しい制約があることから、「原告勝訴20%説」が流布していますが、現実には原告側に「60%の成果」が上がっているという事実も披露しました。

 こうした実情を基に、宮脇氏は刑事法学者である内田博文氏の「医療者は国の統制下で国策に翻弄されており、自らに自治によって患者の権利を擁護してこそ、医療者の権利も守られる」との指摘を引用し、その拠り所となる医療基本法の必要性を強く訴えました。