「患者の声協議会」の長谷川三枝子代表世話人、「患者の権利法をつくる会」の鈴木利廣常任世話人、「M-BASIC(旧東大医療政策実践コミュニティー(H-PAC)医療基本法制定チーム)」の前田哲兵代表ら5人が16日、東京・永田町の参院議員会館で「医療基本法の制定にむけた議員連盟」の尾辻秀久会長を訪ね、「医療基本法制定の議論の充実に向けて~共同骨子7項目にもとづく提言」と題する提言書を提出しました。合わせて、同じ提言書を各政党、衆参両院厚生労働委員会委員にも郵送しました。提言書には患者会や支援団体など40団体の賛同署名が添付されています。

 この日は、長谷川氏が尾辻会長に提言書を渡し、羽生田俊事務局長、小池晃氏の議連役員も同席しました=写真。鈴木氏は基本法の成立に向けて議連の奮起を促すと同時に、「拙速な成立よりもじっくりと議論を」「オープンな場での議論を」と尾辻氏に要望。尾辻氏は「これまでの議論にあたり、患者会などの意見も聞いてきた。(提言書は)基本的に7項目に沿った内容と理解している。よく読んで、議連としての考えをまとめたい」と答えました。

 この後、記者会見を行い、メディア5社が集まりました。鈴木氏が基本法に盛り込むべき理念やこれまでの経緯を説明。記者から「今回の提言の狙いは何か」との質問があり、鈴木氏が「新しい内容はないが、拙速な議論を避けると同時に、公開の場での議論が望ましいことをアピールした」と答えました。

 また、「基本法と新型コロナウイルスとの関連は?」との質問もあり、鈴木氏は「7項目の中に(新型コロナに)直接触れている部分はないが、7項目に基づいた今回の提言には医療提供体制の充実、差別・偏見の禁止、ワクチン・治療薬開発における被験者保護などを盛り込んでおり、これらは今回の新型コロナにおける医療体制の脆さにつながる指摘。基本法という土台ができていないから、感染拡大や長期化を余儀なくされたと考えることができる」と述べました。また、長谷川氏はリウマチ患者の立場から「罹患して58年になるが、医療制度の大元がないことで、国民が不安に陥ることを痛感してきた」と基本法の必要性を強調しました。

 医療基本法については、19年2月に超党派議連が結成され、上記3団体をはじめとする民間のヒアリングなども行って立法に向けた動きが加速していましたが、今年になってコロナ禍や政権交代などの影響もあり、議論は停滞している模様です。