6日に共同シンポ&勉強会

「医療基本法制定に向けた議員連盟」(尾辻秀久会長)役員によるヒアリングが12月10日、衆院第2議員会館で行われました。患者の声協議会の長谷川三枝子代表世話人ら5人が出席し、議連からは尾辻会長、羽生田俊事務局長ら6人が出席しました。11月16日、当協議会など3団体の代表が提出した提言「医療基本法制定の議論に充実に向けて」の内容について説明を求められたものです。

 ヒアリングでは、患者の権利法をつくる会の鈴木利廣常任世話人が、2016年4月に公表した7項目の共同骨子と、今回の提言の関係について説明。医療制度の目的、公共性の理念、医療供給体制、権利侵害の回復・救済システムに分けて、それぞれが共同骨子のどの部分に盛り込まれているかを詳しく解説しました。

 これに対して、議連側からは「患者の権利、差別禁止といった内容は可能な限り盛り込む必要がある。時間は掛かるかもしれないが、歴史的な法案になるのではないか」(小池晃氏)、「今回のコロナ禍では医療の重要性が強く認識されており、こうした危機時に医療の果たすべき役割を位置づけるべきだ」(古川元久氏)、「WHO憲章の理念を盛り込むべきだ」(三ツ林裕巳氏)など、前向きな意見が出ました。

 これに対して、参議院法制局はWHO憲章について「憲章には医療だけでなく保健も含まれており、(医療基本法の理念とは)方向性が少し違う部分もあるのでよく検討したい」、厚生労働省は「本日の意見を踏まえて対応したい」という姿勢でした。これらの議論を受けて、羽生田氏は「議連総会に出す原案を早期に提案したいが、2カ月以上は掛かりそうだ」と見通しを述べました。議連がようやく本腰を入れて法案に取り組む雰囲気を感じました。

 一方、ヒアリングに先立つ12月6日、シンポジウム「医療基本法の議員立法に向けて~あなた自身が、人権に根ざした医療を受けるために」がZoomを使ったオンライン形式で開かれ、約55人が参加しました。患者の権利法をつくる会、М‐Basic、当協議会の共催で、今回は当協議会の第51回勉強会も兼ねて行いました。11月16日に議連に提出した提言を基に、さまざまな立場から同法の必要性を再確認しました。

 最初に、権利法をつくる会の小林洋二氏が提言の内容を解説。続いてWHO憲章の概念、病気・生涯による差別の禁止、リスボン宣言を踏まえた医療者の役割、患者本位の医療、医療の安全と質の確保などについて、それぞれの立場からの指定発言がありました。当協議会からは本間氏が発言。希少難病の患者・家族の立場から、15年に施行された難病法の成立過程を検証したうえで、医療基本法が存在しなかったことで難病対策が大きく遅れたという観点に立ち、法的裏付けのない医療政策の欠陥例を解説しました。